フランスとベルギーの国境の目印であった、国境石(こっきょういし)を農夫が動かしてしまい、ベルギーの領土が大きくなって、フランスの領土が小さくなってしまったニュースがありました。
ヨーロッパのように陸続きの国どおしの場合、国境石を動かしてしまうと、2国間の国境はどうなってしまうのでしょう?
動かした農夫は不法侵入となるのか?実際の国境の決め方・国境の引かれ方とは?調べてみました^^
もくじ
国境石を動かしたら不法侵入?
ベルギー農家、勝手にフランスとの国境石を移動
ベルギー領が約1000平方メートル拡大した格好に
両国の反応は…?https://t.co/iGRggrwBlR
— ハフポスト日本版 / 会話を生み出す国際メディア (@HuffPostJapan) May 6, 2021
国境石(こっきょういし)とは、国と国との土地の境目において、領土の境界の目印を示すために設置される標石のことです。
ニュースでは、ベルギーの農夫が”うっかり”その国境石を動かしてしまったとありますが、不法侵入や外交問題、紛争にはならないでしょうか?
幸い、今回のフランス・ベルギーの間で過去の歴史にあったような紛争といった大きな国際問題にまで発展することはなかったとのことですが、ヨーロッパやアメリカ大陸・アフリカ大陸のように陸続きになっている国から国への国境を超える移動は、柵や塀がないところでは、自由に行き来することができて国が取り締まらない地域もありますので、国境石を動かしてしまったからといってすぐに逮捕されたりだとか、外交問題に発展する…といったことにはなりにくいのですね。
国が統治上、重要とみなすような地域では定期的な監視やパトロールがされているところもありますが、意外に野放しになっているところもあるのですね。
国境の決め方、国境の引かれ方とは?
日本は島国で四方を海で囲まれているため、簡単には海外から不法侵入というわけにはいかないのでピンと来ないかもしれませんが、ヨーロッパやアメリカ大陸・アフリカ大陸のように陸続きになっている国々どうしでは、昔から敏感にならざるを得ない国際問題だったことは歴史が物語っていますね。
では、陸続きの場合の国境の決め方、国境の引かれ方ってどんなふうに決まるのでしょうか?
『新しい社会 地理』(東京書籍)では、国境の定義を次の2種類に分けて説明しています。
国境の決め方➊
山や川、湖、海などの自然物を利用した「自然的国境」。
世界の例で見てみると、下記のような例があります。
- ロライマ山 — ベネズエラ、ガイアナ、ブラジルの国境
- リオ・グランデ川 — アメリカとメキシコの国境
- 徳天瀑布 — 中国とベトナムの国境
- エベレスト山 — 中国とネパールの国境
- イグアスの滝 — アルゼンチンとブラジルの国境
- ライン川 — ドイツとフランスの国境
- パンジ川 — タジキスタンとアフガニスタンの国境
- イッデフィヨルド — ノルウェーとスウェーデンの国境
- エプパ滝 — アンゴラとナミビアの国境
- ショーク川 — インドとパキスタンの国境
- マッジョーレ湖 — イタリアとスイスの国境
- ピレネー山脈 — フランスとスペインの国境
- アマゾン川 — コロンビアとぺルーの国境
- モンドラン山 — イタリア、スイス、フランスの国境
- ザンベジ川 — ザンビア、アンゴラ、ザイールの国境
国境の決め方➋
緯線・経線などを利用した人工的な「人為的国境」。
緯線・経線などを利用した人為的国境は、歴史的に見て新しい国、例えばアメリカ合衆国やアフリ
カ諸国です。
特に、アフリカ諸国は20世紀ごろまでヨーロッパ諸国の植民地となっていた国が多く、話し合いによって領土が分割された歴史的背景があるため、現在でも人工的な国境線が多く残っています。
国境石を動かしたら不法侵入?国境の決め方,引かれ方は?【まとめ】
- 国境石を動かしたらすぐに不法侵入となるわけではなく、話しあいで解決されることもある。
- 国境の決め方、国境の引かれ方は、自然的国境と人為的国境の2種類に分けられる。
今回のニュースに出ていた、”ベルギー領が約1000平方メートル拡大”の1000平方メートルっていったいどれほどの広さだろうと思って調べると、だいたい50mのレーンが10コースあるプールの広さ、だそうです。
以上、国境石を動かしたというニュースより、気になる点をリサーチしてみました^^